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日本表面科学会中部支部主催/(社)応用物理学会東海支部協賛

市民講座「光と色のやさしい表面科学−光のめぐみを生活の中へ:光機能表面−」

 今年の市民講座は「光と色のやさしい表面科学−光のめぐみを生活の中へ:光機能表面−」です。光と色は生活の中で非常に身近なものです。今回、その「光」と「色」に注目し、色の面白さと生活に役立つ光の技術に関して、基礎から応用まで、専門の先生方からやさしくお話していただきます。また、演示や展示も行いますので、多数の方のご参加をお待ちしております。

日時 2006年8月5日(土) 13:00−17:35

会場 名古屋工業大学・2号館C棟・F1教室

定員 80名(参加費無料、定員超過等の場合はご連絡致します)

プログラム
1. 13:00−13:05  あいさつ
         財満鎭明 (支部長、名古屋大学・大学院工学研究科)

2. 13:05−13:50  モルフォ・ブルーのミステリー:構造色とその応用
         齋藤 彰 (大阪大学・大学院工学研究科/理化学研究所・播磨研究所)

3. 13:50−14:35  真空ナノテクノロジーが拓く新しい映像と照明の世界
          中本正幸 (静岡大学電子工学研究所

4. 14:35−15:20  調光ガラス(色の変わるガラス)
         吉村和記 (産業技術総合研究所・サステナブルマテリアル研究部門)

休憩 15:20−16:00

5. 16:00−16:45  光触媒複合材料の応用
         山内五郎 (大同工業大学)

6. 16:45−17:30  可視光応答型光触媒による室内環境浄化
         大脇健史 (豊田中央研究所・無機材料研究室)

7. 17:30−17:35  むすび
          田部道晴 (副支部長、静岡大学・電子工学研究所)

お申し込み方法
はがき、FAXまたは電子メールで下記までお申し込みください。

その際、「やさしい表面の科学申し込み」と明記し、下記項目をご記入下さい。
       ・参加人数
       ・氏名
       ・所属(学校名、職業)
       ・住所
       ・電話番号
       ・E-mailアドレス等 

締め切り 8月2日(水)

お申し込み・お問い合わせ先
住所:〒464-8603 名古屋市千草区不老町、名古屋大学・大学院工学研究科
秋本晃一
電話/FAX番号:  052-789-3724

  [名古屋工業大学への交通案内]
・ JR東海 中央本線 鶴舞駅下車
・ 地下鉄 鶴舞線 鶴舞駅下車
・ 地下鉄 桜通線 吹上駅下車
・ 市バス 栄18系統(栄−妙見町)名大病院下車

講演の概要

・モルフォ・ブルーのミステリー:構造色とその応用   (齋藤 彰)

 真珠や玉虫の光沢は100年経ても色褪せることがない。それは発色の元が「色素」でなく、化学変化に影響されない「構造」だからである。こうした発色機構は「構造色」と呼ばれる。キラキラ輝く青色でよく知られるモルフォ蝶の金属光沢もその1つである。モルフォ蝶の発色機構は、ほぼ透明な蛋白から成る鱗粉が高反射率の鮮明な青を生じるため、干渉色で説明されてきた。しかし真珠や玉虫と異なり「発色に角度依存性がほとんどない」事実は干渉の根本と矛盾し、長い間ミステリーであった。その鍵が表面の特殊なナノ構造にあることを最近、講演者らは半導体技術を用いて工学的に再現、証明した。構造色でも特異なこのモルフォ発色機構は、応用上も多くの可能性を秘めている。本講演では、モルフォ蝶を中心とする発色原理に始まり、応用の展開にいたるまで紹介する。

・真空ナノテクノロジーが拓く新しい映像と照明の世界   (中本正幸)

 半導体に置き換えられて消滅したかのように思われていた真空管 が、ナノテクノロジーと量子力学的トンネル効果という異なった電子放出原理の衣を纏い、ナノ構造電子デバイスとして蘇りつつある。その一つが、明るく光り輝き、自然色フルカラー、高精細、広視野角、画像の歪もなく切れがあり、消費電力が低く、アウトドア等の過酷な条件でも使用可能な究極のディスプレイ、Field Emission Display(FED)である。また、講演者は、環境汚染源である水銀を含む従来の蛍光ランプに代わる次世代高品質一般照明用白色発光真空ナノランプも提唱している。真空ナノテクノロジーの現状を紹介するとともに、独創的新技術を発展させる際の、一般常識・従来理論に基づく思考との衝突・軋轢、協調と止揚等、研究者・技術者が直面する ガリレオ、コペルニクス以来の古くて新しい課題についても述べる。

・調光ガラス(色の変わるガラス)  (吉村和記)

 調光ガラスとは、ガラスの透過率・反射率・色などを可逆的に変化させることのできるガラスのことで、特に窓ガラスとして用いることで、省エネルギー効率の高いガラスが実現できるものと期待されている。調光ガラスには、電気的に変化させるエレクトロクロミックガラス、温度で変化するサーモクロミックガラスなどがあるが、代表的な調光ガラスについて、その概要と、研究の現状などについて解説する。 また、現在、産総研で研究を進めている「調光ミラーガラス」及び「自律調光ガラス」という新しい調光ガラスについて詳しく紹介する。

・光触媒複合材料の応用  (山内五郎)

 光触媒TiO2を超撥水材料や内部酸化合金と組み合わせることにより、応用範囲を広げることができる。PTFE粒子をバインダー中に分散させた超撥水材料に、TiO2をごく少量添加するだけで、難着雪性で汚れも分解する長寿命の豪雪地帯用無線アンテナ、携帯電話用防水マイクロホンを実現した。
 TiO2微粒子を内部酸化法と呼ばれる方法により金属の表面および内部分散させた材料を、低温プラズマの電極として用いれば、NOxの分解が可能であることを明らかにした。


・可視光応答型光触媒による室内環境浄化  (大脇健史)

 現在光触媒は、セルフクリーニング、空気浄化、水浄化および抗菌などの効果を発現し、太陽光のもとで幅広く実用化されてきている。その酸化チタンに窒素をドープすることなどにより、可視光でも機能する光触媒の開発が進んできた。その結果、室内や車室内など、紫外線がほとんどなく可視光だけの空間でも、光触媒が利用されはじめてきた。本講演では、弊社で開発した新規可視光応答型光触媒である窒素ドープ酸化チタンに関して、可視光応答化の原理から、室内環境浄化のための応用展開まで、わかりやすく紹介する。

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