日本表面真空学会関東支部
関東支部セミナー
深化するデータ科学と表面科学
主催: 公益社団法人 日本表面真空学会
関東支部
共催: 公益社団法人 日本表面真空学会
データ駆動表面科学研究部会
後援: 国立研究開発法人 科学技術振興機構JST CREST
日時: 2023年3月28日(火曜日)9:00-17 : 00
開催形式: オンライン
参加料: 無料
参加登録:以下より参加登録をお願いいたします。
オンラインアクセスに関する情報は登録者のみに送らせていただきます。
研究会趣旨:
最近急速に発展してきたデータ科学は昨今、様々な分野での適用研究が進み、その活用法が具体的に分かるようになってきた。一方、表面真空科学分野では計測・計算技術における高度化がさらに促進され、測定データの多次元化や未踏領域の信号検出などの開発が進みデータ科学との融合がさらに必要とされている。そこでデータ科学と表面真空科学の分野横断研究を深化させるために、学会会員を主な対象としたセミナーを開催する。セミナーでは、マテリアルズ・インフォマティクスの入門書を数々出版されている岩崎悠真先生にチュートリアル講演を実施していただく。そして本分野を牽引する研究者をお招きしてご講演もいただく。
Surface Science
Agora
セミナーでは支部の小さな規模を活かして、講演者と共に研究分野に関連する議論を自由に行う「Surface Science Agora」を開催する。「データサイエンスの未来」や「効率の良い論文執筆と指導」など、会員の関心をもとに自由に議論を行ってもらう。
担当者:
小嗣真人(代表、東京理科大学)
林智広 (東京工業大学)
松田巌 (東京大学)
深谷有喜 (JAEA)
講演者 :
チュートリアル講演
岩崎悠真 (物質・材料研究機構)
招待講演
Lippmaa Mikk (東京大学)
青柳里果(成蹊大学)
五十嵐康彦 (筑波大学)
星健夫 (鳥取大学)
Alexandre
Foggiatto (東京理科大学)
Debabrata Palai
(東京工業大学)
小林成 (東京工業大学)
プログラム
講師(敬称略)、講演題目、要旨
9:00-11:00 チュートリアル講演
岩崎悠真 (物質・材料研究機構(NIMS) 統合型材料開発・情報基盤部門(MaDIS))
講演題目:材料開発における4つのインフォマティクス
要旨:近年、データ駆動材料科学は非常に速いスピードで開発が進められており、様々な技術が登場している。本チュートリアル講演では、『マテリアルズインフォマティクス』、『プロセスインフォマティクス』、『計測インフォマティクス』、『物理インフォマティクス』の4分野を簡単に説明する。また、本講演の後半は、マテリアルズインフォマティクス分野の技術の一つである自律材料探索について簡単に説明し、事例を紹介する。
11:00-11:15
休憩/ブレイクアウトセッション
11:15-11:45
招待講演
青柳里果(成蹊大学理工学部)
講演題目:計測データへの機械学習の応用 〜多変量解析から人工ニューラルネットワークまで、定性分析から定量分析まで〜
要旨(5文程度で結構です):スペクトルとイメージを併せ持つデータの教師なし機械学習手法による成分ごとのイメージおよびスペクトルの分類について、おもに飛行時間型二次イオン質量分析法(ToF-SIMS)と後方散乱電子回折法(EBSD)の例を紹介する。マトリックス効果などの影響を受けて濃度依存性が非線形となったスペクトルデータの定量分析について教師あり手法として人工ニューラルネットワーク(ANN)を用いた例を紹介する。また、同ANNはスペクトルの定性分析も同時に行える。さらに教師あり手法としてランダムフォレストを用いた未知スペクトル予測について、ペプチドのToF-SIMSスペクトル予測を紹介する。学習用データの構築方法やさまざまな計測データに応用する際の注意点なども解説する。
11:45-12:15
招待講演
星健夫 (鳥取大学)
講演題目:富岳における超並列データ駆動科学と全反射高速陽電子回折(TRHEPD)への応用
要旨:我々は近年,汎用データ解析ソフトウェア2DMAT(https://www.pasums.issp.u-tokyo.ac.jp/2DMAT)を開発している.2DMATを富岳などのスーパーコンピュータで用いることで,超並列データ駆動科学(超並列モンテカルロ法に基づく高信頼ベイズ推定)が実現される.本講演では,革新的2次元物質構造解析手法である全反射高速陽電子回折(TRHEPD, https://www2.kek.jp/imss/spf/)への応用を取り上げる.
12:15-13:30
昼休み/講演者とのブレイクアウトセッション
13:30-14:00
招待講演
Mikk Lippmaa (University of Tokyo, Institute
for Solid State Physics)
講演題目:Machine learning approach to RHEED pattern analysis
要旨:The most time-consuming part of thin film materials development is
the optimization of process parameters to obtain the desired crystalline phase.
The process is slow because the parameter space is very multidimensional and
phase analysis by ex-situ x-ray diffraction (XRD) is very time consuming. We
have therefore developed a machine-learning approach to analyzing in
near-real-time in-situ Reflection High-Energy Electron Diffraction patterns.
Individual diffraction features are extracted from the diffraction patterns
with a U-Net convolutional neural network implementation, followed by feature
periodicity analysis and pattern type clustering. This allows us to produce
structural phase diagrams during film growth without having to wait for slow
XRD analysis. I will show a demonstration of the operation of the tool for the
synthesis of iron oxide films and discuss future prospects
of how such methods may be used to develop autonomous synthesis workflows.
14:00-14:20
招待講演
Alexandre Lira Foggiatto (Tokyo University of
Science)
講演題目:Interpretation of Coercivity and Energy Mechanism based on the ex-GL
model
要旨:The magnetic loss in electrical devices is affected by interfaces
and defects, such as the pinning of domain walls. To improve these devices, it
is important to understand the mechanism that controls coercivity based on
boundaries and defects. However, describing coercivity in real materials is
challenging due to multiple intrinsic origins, which cannot be easily explained
using conventional Ginzburg-Landau theory. Here, machine learning algorithms
such as principal component analysis were used to create a realistic energy
landscape of the magnetization reversal process of magnetic materials extending
the usual GL model. The resulting landscape helped identify physical properties
extracted from surface morphological image datasets through smart
analysis.
14:20-14:40
招待講演
Debabrata Palai (NIMS)
講演題目:Recent advances in designing bio-interfaces using machine learning:
from monolayers to polymer films
要旨:Bio-interfaces are vital in various biomedical applications, from
tissue engineering to drug delivery and biosensors. Recent advances in machine
learning techniques, including artificial neural networks and deep learning,
have enabled researchers to efficiently optimize the bio-interface properties
at the molecular level, from monolayers to polymer films. This conference will
provide insights into the data acquisition procedure to create the database,
the selection of descriptors, the choice of algorithms, and our achievements in
predicting protein adsorption onto the monolayers and polymer brush films.
Overall, this conference will help to understand the current situation and
future direction of materials informatics in the field of biomaterials.
14:40-15:00
招待講演:
小林成 (東京工業大学)
講演題目:自律薄膜合成装置を活用した新規組成Li固体電解質の探索
要旨:自律薄膜合成装置を活用した新規組成Li固体電解質の探索
要旨:インフォマティクスや自動化技術による物質探索の自律化が注目されている。自律化により、より効率的に広範な合成条件の検討が可能になり、新規物質の発見が加速すると期待される。そこで我々は、薄膜材料を題材として自律的に実験を行うシステムを開発した。本講演では、この自律探索システムを用いた新規Li固体電解質材料探索に関して紹介する。
15:00-15:30
休憩/ブレイクアウトセッション
15:30-16:00
招待講演
五十嵐康彦 (筑波大学システム情報系)
講演題目:Scientists-Augmentation AIによる材料開発への展開
要旨:近年,複雑化しつつある材料に対する実験・計測・計算データに対して,科学者の能力を拡張するScientists-Augmentation AIの重要性が高まっている.本講演では,単に複雑なモデルを用いることだけでなく,データの特性や観測モデルなどを適切に仮定することで,定量的なモデル抽出や計測情報を抽出する手法の解説を行い,どのようにしてScientists-Augmentation AIを実現していくかについて述べる.
16:00-16:10
中締め:小嗣真人
16:10-17:00
(各セッションにて終了)「Surface Science Agora」
Surface Science Agora
様々なテーマをbreakout sessionとして取り扱う。終了時間は参加者が決めて良い。
テーマ1:データサイエンスの未来
本セミナーの講演者を囲んでデータサイエンスの未来を考えます
テーマ2:効率の良い論文執筆と指導
長谷川修司先生(東京大学教授)を招きし、論文執筆と指導の極意を話し合います。
テーマの追加は可能です。気になるものがある場合、担当者へご連絡ください。
小嗣真人:kotsugi@rs.tus.ac.jp
松田巌:imatsuda@issp.u-tokyo.ac.jp